DIARY

環境整備
昨年の春に残業をゼロにしてから一年間継続できて素直に嬉しい。 全力で集中できるのはせいぜい1日8時間が限界だと思うし、同じ成果ならなるべく短い時間で終わった方が良いに決まっている。 だから効果的に残業を無くすことで仕事の効率も上りスキルアップやチャレンジに時間を使えて、売上や利益率も伸びるだろうとずっと思ってはいたが、何事も口で言うのは簡単で実行するのは難しい。 KOMAを立ち上げた20年前は徹夜なんて当たり前だったし、つい10年前も休みなく深夜まで働いていた。 それから数年をかけて残業時間を2時間、1時間、30分と少しづつ短くしてようやくゼロにできた。 「経営者として従業員の仕事環境を整えたい」なんていうのは建前で、根性も能力も無いくせに辞める時に会社のせいにされるのがムカつくっていうのが本音だ。 だからグウの音も出ない会社にしたいと思っている。 あれから1年みんなで協力しあって一度も残業をしていない。 その結果、売上は前期と比べて30%伸びた。 そして今では年間110日から最大130日の休みがあって、社会保険はもちろん長期休業保証も育児休暇も退職金制度、扶養手当などなど多くの手当や保証もある。 若い衆が作った作品を買い取る制度や会社運営に参加し意見できる機会など、いつでもチャンスがある環境に加え、個人のスキルや貢献度、業務内容などを細かく見えるようにした評価制度もあって、実力と結果によるが給料も良い。 こうして聞くと良い事ばかりなように感じるが誰にとっても良いわけではない。 やりがいと結果を得て成長を実感し楽しめるのは、自分の現状を理解し役割を見つけられる者に限定されるからだ。 そうでない者にとってこの環境は、素晴らしい作品を次々に生み出す者や会社の運営に能動的に関わる者と比較され能力や結果が丸裸になり、ごまかしも効かず逃げ出したくなるだろう。 優秀な者ほど多くの選択肢の中から自分で的を絞って黙々と真っ直ぐに進むことができるが、無能な者はありもしない選択肢を見て理想を口にするばかりで行動ができないから成長もしない。 クリーンで良い仕事環境になればなるほど結果的にフルイの網目は大きくなり、そのフィールドに残れる者が限定される形となった。 ここ数年は多くの就職希望の履歴書が届くが、採用人数も少ないから倍率は20〜30倍になることもある。 採用する際の基準は、今のKOMAに新鮮な風を吹かせて新しい原動力になってくれる人材か否かだ。 だからKOMAには多種多様な才能が集まり、家具のデザインや製作、販売、企画はもちろん、カタログやホームページの構成デザイン、宣伝広告、海外とのやり取りなどなど全てのことを社内で行なっている。 そう聞くと敷居が高く感じるかもしれないが 「誰にも負けないくらいの元気で今よりもっとKOMAを明るくできます!」 なんていうシンプルなものでも本当にできるなら大歓迎だ。 会社は一人一人の仲間たちで出来ている。 デキるヤツらが自分たちのためにさらに良い環境を創るという好循環ができて、会社の成長は加速していいる。 日々進化が実感できるKOMAという会社がすごく楽しい今日この頃。
環境整備
昨年の春に残業をゼロにしてから一年間継続できて素直に嬉しい。 全力で集中できるのはせいぜい1日8時間が限界だと思うし、同じ成果ならなるべく短い時間で終わった方が良いに決まっている。 だから効果的に残業を無くすことで仕事の効率も上りスキルアップやチャレンジに時間を使えて、売上や利益率も伸びるだろうとずっと思ってはいたが、何事も口で言うのは簡単で実行するのは難しい。 KOMAを立ち上げた20年前は徹夜なんて当たり前だったし、つい10年前も休みなく深夜まで働いていた。 それから数年をかけて残業時間を2時間、1時間、30分と少しづつ短くしてようやくゼロにできた。 「経営者として従業員の仕事環境を整えたい」なんていうのは建前で、根性も能力も無いくせに辞める時に会社のせいにされるのがムカつくっていうのが本音だ。 だからグウの音も出ない会社にしたいと思っている。 あれから1年みんなで協力しあって一度も残業をしていない。 その結果、売上は前期と比べて30%伸びた。 そして今では年間110日から最大130日の休みがあって、社会保険はもちろん長期休業保証も育児休暇も退職金制度、扶養手当などなど多くの手当や保証もある。 若い衆が作った作品を買い取る制度や会社運営に参加し意見できる機会など、いつでもチャンスがある環境に加え、個人のスキルや貢献度、業務内容などを細かく見えるようにした評価制度もあって、実力と結果によるが給料も良い。 こうして聞くと良い事ばかりなように感じるが誰にとっても良いわけではない。 やりがいと結果を得て成長を実感し楽しめるのは、自分の現状を理解し役割を見つけられる者に限定されるからだ。 そうでない者にとってこの環境は、素晴らしい作品を次々に生み出す者や会社の運営に能動的に関わる者と比較され能力や結果が丸裸になり、ごまかしも効かず逃げ出したくなるだろう。 優秀な者ほど多くの選択肢の中から自分で的を絞って黙々と真っ直ぐに進むことができるが、無能な者はありもしない選択肢を見て理想を口にするばかりで行動ができないから成長もしない。 クリーンで良い仕事環境になればなるほど結果的にフルイの網目は大きくなり、そのフィールドに残れる者が限定される形となった。 ここ数年は多くの就職希望の履歴書が届くが、採用人数も少ないから倍率は20〜30倍になることもある。 採用する際の基準は、今のKOMAに新鮮な風を吹かせて新しい原動力になってくれる人材か否かだ。 だからKOMAには多種多様な才能が集まり、家具のデザインや製作、販売、企画はもちろん、カタログやホームページの構成デザイン、宣伝広告、海外とのやり取りなどなど全てのことを社内で行なっている。 そう聞くと敷居が高く感じるかもしれないが 「誰にも負けないくらいの元気で今よりもっとKOMAを明るくできます!」 なんていうシンプルなものでも本当にできるなら大歓迎だ。 会社は一人一人の仲間たちで出来ている。 デキるヤツらが自分たちのためにさらに良い環境を創るという好循環ができて、会社の成長は加速していいる。 日々進化が実感できるKOMAという会社がすごく楽しい今日この頃。

久田拓のスツール
若い衆達が自由に作った作品を会社が買い取って販売する「若い衆作品」という制度がある。それらを若い衆が発表し俺が批評する場を設けてかれこれ7、8年が経ち、そうやって毎月生まれてくる作品の中から特に優秀なものを製品化してKOMAのラインナップに加えている。 しかし製品化に求められる要素は数多くありそして厳しい。まず用途を叶えるためのフォルムや掛けた手間に相応する価値が表現できているか、製造工程まで考えデザインした上でオリジナリティがあるか、そして作者の意思を感じることができるか、などなどだ。 若い衆作品から生まれた製品は今のところまだまだ小物ばかりだが、これからのみんなの活躍が楽しみだ。 さて今回の久田拓のスツールだが、今までの若い衆作品の中で最も優れていると評価している。 試作を繰り返す中で、脚の開きの角度の修正を何度も行なっていた。角度を閉じすぎるとスタッキングした時の重なりが浅くなり、逆に広げすぎると強度的な問題に加え足の小指をぶつけやすくなってしまう。そして、スタッキングした時に下のスツールの座面と上に重なるスツールの台輪との半端な隙間を嫌い、ちょうど綺麗に重なる位置にもこだわっていた。そうやって部材一つ一つのサイズや面の形状など全ての工程で最良の選択をしながら、フォルムだけでなく制作工程や製造本数、価格帯まで理にかなったデザインをしていく。 「そうなってしまった」のか「あえてそうした」のかその制作物の全ての部材や角度、あらゆるフォルムに至るまで必ず「あえてそうした」という作り手の意思が正確に伝わらなければならない。 そのこだわりが人に伝わる物こそ秀作であり、人に伝わらない無意味な意思から生まれた物などいつだって駄作である。 ものづくりは言語を超えたコミュニケーションができる。作り手の意思が伝わる良い物を目にした時、たとえ言葉が通じなくても互いに笑顔で称え認め合える。そこには国籍や性別、年齢や立場も何も関係ない。 今回の久田が作ったこのkapo stoolは、言い訳をせず黙々と目標に向かっていく彼の人柄がよく伝わってくる秀作だ。普通だったら面倒だと敬遠するような工程を楽しみ工夫しながら何度も挑戦した跡が随所に見える。 彼が正月に発表した2025年の目標は「座る道具を毎月1脚つくる」ことだ。 だから毎月の作品発表がすごく楽しみなのだ。 We have “young craftsmen’s works” category at KOMA. We pay the craftsmen for the price of the...
久田拓のスツール
若い衆達が自由に作った作品を会社が買い取って販売する「若い衆作品」という制度がある。それらを若い衆が発表し俺が批評する場を設けてかれこれ7、8年が経ち、そうやって毎月生まれてくる作品の中から特に優秀なものを製品化してKOMAのラインナップに加えている。 しかし製品化に求められる要素は数多くありそして厳しい。まず用途を叶えるためのフォルムや掛けた手間に相応する価値が表現できているか、製造工程まで考えデザインした上でオリジナリティがあるか、そして作者の意思を感じることができるか、などなどだ。 若い衆作品から生まれた製品は今のところまだまだ小物ばかりだが、これからのみんなの活躍が楽しみだ。 さて今回の久田拓のスツールだが、今までの若い衆作品の中で最も優れていると評価している。 試作を繰り返す中で、脚の開きの角度の修正を何度も行なっていた。角度を閉じすぎるとスタッキングした時の重なりが浅くなり、逆に広げすぎると強度的な問題に加え足の小指をぶつけやすくなってしまう。そして、スタッキングした時に下のスツールの座面と上に重なるスツールの台輪との半端な隙間を嫌い、ちょうど綺麗に重なる位置にもこだわっていた。そうやって部材一つ一つのサイズや面の形状など全ての工程で最良の選択をしながら、フォルムだけでなく制作工程や製造本数、価格帯まで理にかなったデザインをしていく。 「そうなってしまった」のか「あえてそうした」のかその制作物の全ての部材や角度、あらゆるフォルムに至るまで必ず「あえてそうした」という作り手の意思が正確に伝わらなければならない。 そのこだわりが人に伝わる物こそ秀作であり、人に伝わらない無意味な意思から生まれた物などいつだって駄作である。 ものづくりは言語を超えたコミュニケーションができる。作り手の意思が伝わる良い物を目にした時、たとえ言葉が通じなくても互いに笑顔で称え認め合える。そこには国籍や性別、年齢や立場も何も関係ない。 今回の久田が作ったこのkapo stoolは、言い訳をせず黙々と目標に向かっていく彼の人柄がよく伝わってくる秀作だ。普通だったら面倒だと敬遠するような工程を楽しみ工夫しながら何度も挑戦した跡が随所に見える。 彼が正月に発表した2025年の目標は「座る道具を毎月1脚つくる」ことだ。 だから毎月の作品発表がすごく楽しみなのだ。 We have “young craftsmen’s works” category at KOMA. We pay the craftsmen for the price of the...

根性論
時代遅れらしい「根性」という言葉を辞書で調べてみると、 「物事を最後までやり抜く精神」とある。 仕事をする上で、小さな成功事例を積み上げていくことは何より大切だ。それを解決するのに「最後までやり抜く精神」以外に必要なことなどあるだろうか。 当たり前だが、自分が思うほど評価なんて得られないし上手くいかない事ばかりだ。しかし評価されるまで、上手くいくまで、投げ出さずにただ黙って続ける以外に解決方法などないと思う。 この「続ける」という本質から逃げる根性無しほど、有りもしないスキルがどうとかノウハウがこうとか屁理屈ばかりで中身が無い。数年続けた程度の半端なスキルやノウハウに価値など無い。何事も人が真似できないレベルでなければ評価など得られないからだ。 しかし、そのレベルまで高めるのはとてもじゃないが一朝一夕にはいかない。特に仕事においては自分の価値は他人の評価が全てを決める。だから、与えられる仕事や評価は自分が求めるそれではないかもしれない。 それでもなんでも黙々と自分のすべきことを最後までやり抜いてチームに貢献する人。 これが年齢も何も関係なく必要とされる人材だ。必要とされた分だけチャンスも得られる。だから必ず成長するし、自分の理想を手に入れていく人だ。 この3月で家具職人の修行を始めて23年経った。 当時は自分でも驚くほど出来が悪くて、若い衆の中でも最低の評価をつけられていた。失敗しては怒られての毎日だったが、それでも朝晩の自主練習は毎日欠かさなかった。 そして1年半が経った頃、 「毎日練習して。。おまえ根性あるなあ」 はじめて褒めてもらえたことが泣けるほど嬉しかったのを覚えている。 俺が23年間やってきたのはただこれだけだ。上手くいくまで、認めてもらえるまでただ続けるだけ。誰かが求めてくれたことに応えようと無我夢中になっていたら、その度になんとなくスキルらしきものが身につくのだ。その価値に気付かず自分のやりたい事ばかりしか見えない人間は三流にすらなれない永遠の素人である。 日々積み上げていくものなんて本当に小さなものでいい。「昨日より少し上手に刃が研げた」とか「仲間が喜んでくれた」とか大切なのは毎日何かを感じること。 小さな塵みたいな成功事例が積もって積もってまだ山とはならないが、ちょっとした丘くらいにはなったかなと思う24年目の今日この頃。 Thoughts about guts When I look up whats said to be the outdated...
根性論
時代遅れらしい「根性」という言葉を辞書で調べてみると、 「物事を最後までやり抜く精神」とある。 仕事をする上で、小さな成功事例を積み上げていくことは何より大切だ。それを解決するのに「最後までやり抜く精神」以外に必要なことなどあるだろうか。 当たり前だが、自分が思うほど評価なんて得られないし上手くいかない事ばかりだ。しかし評価されるまで、上手くいくまで、投げ出さずにただ黙って続ける以外に解決方法などないと思う。 この「続ける」という本質から逃げる根性無しほど、有りもしないスキルがどうとかノウハウがこうとか屁理屈ばかりで中身が無い。数年続けた程度の半端なスキルやノウハウに価値など無い。何事も人が真似できないレベルでなければ評価など得られないからだ。 しかし、そのレベルまで高めるのはとてもじゃないが一朝一夕にはいかない。特に仕事においては自分の価値は他人の評価が全てを決める。だから、与えられる仕事や評価は自分が求めるそれではないかもしれない。 それでもなんでも黙々と自分のすべきことを最後までやり抜いてチームに貢献する人。 これが年齢も何も関係なく必要とされる人材だ。必要とされた分だけチャンスも得られる。だから必ず成長するし、自分の理想を手に入れていく人だ。 この3月で家具職人の修行を始めて23年経った。 当時は自分でも驚くほど出来が悪くて、若い衆の中でも最低の評価をつけられていた。失敗しては怒られての毎日だったが、それでも朝晩の自主練習は毎日欠かさなかった。 そして1年半が経った頃、 「毎日練習して。。おまえ根性あるなあ」 はじめて褒めてもらえたことが泣けるほど嬉しかったのを覚えている。 俺が23年間やってきたのはただこれだけだ。上手くいくまで、認めてもらえるまでただ続けるだけ。誰かが求めてくれたことに応えようと無我夢中になっていたら、その度になんとなくスキルらしきものが身につくのだ。その価値に気付かず自分のやりたい事ばかりしか見えない人間は三流にすらなれない永遠の素人である。 日々積み上げていくものなんて本当に小さなものでいい。「昨日より少し上手に刃が研げた」とか「仲間が喜んでくれた」とか大切なのは毎日何かを感じること。 小さな塵みたいな成功事例が積もって積もってまだ山とはならないが、ちょっとした丘くらいにはなったかなと思う24年目の今日この頃。 Thoughts about guts When I look up whats said to be the outdated...

タケシの独立
KOMAで9年勤めてくれたタケシが独立する。 この9年でKOMAは大きく成長した。人数は6人から21人になり、売上も4倍以上になった。仕事の内容も働き方も全く別の会社になったと言ってもいいくらいだ。 タケシはその成長に大きく貢献した立役者の1人である。 会社の成長に合わせて環境は目まぐるしく変化し、ポジションをめぐる競争も生まれた。それらについて来れず淘汰されていく者もいる中、常に最前線で会社や若い衆をリードしてくれた。そしてタケシにとっても結婚や子育てなど多くの変化があった9年でもあった。 タケシが持っているセンスや感性は、幼少からずっとものづくりが好きだった者だけが持っているそれである。柔らかく穏やかな性質に加えて、つべこべ言い訳せずきちっと結果に向かって進む強さもある。おまけに、ものづくりに負けず劣らずユーモアのセンスも持ち合わせている。だからタケシはみんなの人気者だ。 そんなタケシの送別会は泣いて笑って、みんなの温かい気持ちが通う時間になった。それは彼の9年がKOMAにとってかけがえのないものであったことを証明していた。 また仕事で関われる日が待ち遠しい。今まで本当にありがとうありがとう。 Takeshi, who was with us for 9 years is going out on his own. KOMA has grown substantially in these years.The crew has...
タケシの独立
KOMAで9年勤めてくれたタケシが独立する。 この9年でKOMAは大きく成長した。人数は6人から21人になり、売上も4倍以上になった。仕事の内容も働き方も全く別の会社になったと言ってもいいくらいだ。 タケシはその成長に大きく貢献した立役者の1人である。 会社の成長に合わせて環境は目まぐるしく変化し、ポジションをめぐる競争も生まれた。それらについて来れず淘汰されていく者もいる中、常に最前線で会社や若い衆をリードしてくれた。そしてタケシにとっても結婚や子育てなど多くの変化があった9年でもあった。 タケシが持っているセンスや感性は、幼少からずっとものづくりが好きだった者だけが持っているそれである。柔らかく穏やかな性質に加えて、つべこべ言い訳せずきちっと結果に向かって進む強さもある。おまけに、ものづくりに負けず劣らずユーモアのセンスも持ち合わせている。だからタケシはみんなの人気者だ。 そんなタケシの送別会は泣いて笑って、みんなの温かい気持ちが通う時間になった。それは彼の9年がKOMAにとってかけがえのないものであったことを証明していた。 また仕事で関われる日が待ち遠しい。今まで本当にありがとうありがとう。 Takeshi, who was with us for 9 years is going out on his own. KOMA has grown substantially in these years.The crew has...

寿司屋
寿司屋が好きだ。 最近流行りの予約が取れないとかコースだとか何だか気取った感じではなく、ふらっと行って馴染みの大将にお任せで握ってもらう。 寿司と日本酒に詳しいって少し憧れるが、下手をすると1人で一升呑んでしまうこともあって、大将から聞く魚や酒のウンチクは一向に覚えられない。 この酒は冷酒でも冷や酒でもいけるよ「何処」の「某」で今が旬の「何々」の稚魚で「云々」。。 聞いてるそばから全部忘れてしまう。 結果として「美味いくて幸せだなあ」という気持ちだけが残る。 その度に寿司屋という仕事が羨ましくなる。 今だけの旬の素材を使って、それを楽しみに待つ目の前の客のために腕を振るい作品を完成させる。 そしてその作品は客の腹に収まった瞬間に感動と共に完結する。 その潔さにシビレる。 まるで一つのエンターテイメントのステージを見ているようだ。 それと比べると家具作りは時間の軸が全く違う。 材木は使えるまで何年も寝かせる必要があるし、それから何ヶ月もかけて家具を作る。 「家具作りは感動までのスピードが何だかジレったいんですよ。完成した後もずっと責任があるしね」と大将にいうと。 「いやいや。アタシは逆に作品が残るそっちが羨ましいよ。家具は100年先の未来にも作品が残ることだってあるわけでしょ?ロマンがあるよ!こっちなんか食ったら影も形も残らないんだからさぁ」 「まあねぇ。でもやっぱ寿司屋はLIVEやってるみたいでかっこいいっすよ」 職人同士の「無い物ねだり」だ。...
寿司屋
寿司屋が好きだ。 最近流行りの予約が取れないとかコースだとか何だか気取った感じではなく、ふらっと行って馴染みの大将にお任せで握ってもらう。 寿司と日本酒に詳しいって少し憧れるが、下手をすると1人で一升呑んでしまうこともあって、大将から聞く魚や酒のウンチクは一向に覚えられない。 この酒は冷酒でも冷や酒でもいけるよ「何処」の「某」で今が旬の「何々」の稚魚で「云々」。。 聞いてるそばから全部忘れてしまう。 結果として「美味いくて幸せだなあ」という気持ちだけが残る。 その度に寿司屋という仕事が羨ましくなる。 今だけの旬の素材を使って、それを楽しみに待つ目の前の客のために腕を振るい作品を完成させる。 そしてその作品は客の腹に収まった瞬間に感動と共に完結する。 その潔さにシビレる。 まるで一つのエンターテイメントのステージを見ているようだ。 それと比べると家具作りは時間の軸が全く違う。 材木は使えるまで何年も寝かせる必要があるし、それから何ヶ月もかけて家具を作る。 「家具作りは感動までのスピードが何だかジレったいんですよ。完成した後もずっと責任があるしね」と大将にいうと。 「いやいや。アタシは逆に作品が残るそっちが羨ましいよ。家具は100年先の未来にも作品が残ることだってあるわけでしょ?ロマンがあるよ!こっちなんか食ったら影も形も残らないんだからさぁ」 「まあねぇ。でもやっぱ寿司屋はLIVEやってるみたいでかっこいいっすよ」 職人同士の「無い物ねだり」だ。...

広報担当・長女リコ
最近インスタグラムのフォロワーが14万人を超えた。 一年で10万人以上増えた。 俺の娘であるリコが動画制作から発信までを担当している。 きっかけは一年半ほど前だろうか、家族で出かけた時のこと。今時の女子らしく何やら色々とスマホで撮っているとは思っていたが、帰りの車中で編集した動画を見せられてびっくりした。 まとまりのある画角、飽きのこないテンポ、完成までのスピード、そのどれもが普通の女子のそれではない。 やりすぎず、やらなすぎず、ちょうど良く抜けた感じが特にすごかった。ものづくりにおいてこのバランス感覚はすごく重要で、なかなか身に付けられないことでもある。 「おまえ凄いじゃん!才能あるよ!」そう言うと「こんなの全然普通だよ。今時はみんなできるよ」とリコ。 「クリエイションの世界でやってきた俺には分かる!おまえは普通じゃない!」 そうして試しにアルバイトでKOMAの動画を作ってもらうことになったのだが、最初の動画で37万回再生という結果を出した。 「ほら!やっぱり普通じゃないじゃん!」 当時学生だった彼女は親の会社では世話にはなりたくないと言っていた。俺も自分の子供と働きたいとは思っていないが、ただこの力をKOMAで活かしたかった。 「一つの部門を任されて仕事するなんてやりがいあると思うよ〜」などと口説き文句を並べて2023年の4月から正式に入社してもらい、KOMAの日々を発信する部門が新たにスタートした。 思えば幼い頃から少し変わった視点を持つ子だった。 リコが3歳の頃、お祭りでもらった金魚が死んで一緒にお墓を作ったことがある。泣き止まないリコに「どうしてそんなに泣いてるの?」と聞くと、「明日になったらこの悲しい気持ちを忘れちゃうことが悲しい」と答えた。面白い子だなあと思った。 よく笑う明るく愉快な女子へと成長していく彼女だったが、内側にはちゃんと重たく鬱々とした澱のようなものも見えた。陰と陽、騒と静、集と散など感情や思考のプラスマイナスの振り幅が大きいのだ。 こういう子は一般的な社会では生きづらさを感じることもあるのだろう。だから中学では不登校の時期もあったし、高校は退学になったりもした。 ただ俺にはそのどれもが彼女にとってのポジティブな過程に思えた。 そして、こういう子はギアが入って走り出したら、普通じゃないスピードで成長していくことを知っている。 今、走りはじめたのだ。
広報担当・長女リコ
最近インスタグラムのフォロワーが14万人を超えた。 一年で10万人以上増えた。 俺の娘であるリコが動画制作から発信までを担当している。 きっかけは一年半ほど前だろうか、家族で出かけた時のこと。今時の女子らしく何やら色々とスマホで撮っているとは思っていたが、帰りの車中で編集した動画を見せられてびっくりした。 まとまりのある画角、飽きのこないテンポ、完成までのスピード、そのどれもが普通の女子のそれではない。 やりすぎず、やらなすぎず、ちょうど良く抜けた感じが特にすごかった。ものづくりにおいてこのバランス感覚はすごく重要で、なかなか身に付けられないことでもある。 「おまえ凄いじゃん!才能あるよ!」そう言うと「こんなの全然普通だよ。今時はみんなできるよ」とリコ。 「クリエイションの世界でやってきた俺には分かる!おまえは普通じゃない!」 そうして試しにアルバイトでKOMAの動画を作ってもらうことになったのだが、最初の動画で37万回再生という結果を出した。 「ほら!やっぱり普通じゃないじゃん!」 当時学生だった彼女は親の会社では世話にはなりたくないと言っていた。俺も自分の子供と働きたいとは思っていないが、ただこの力をKOMAで活かしたかった。 「一つの部門を任されて仕事するなんてやりがいあると思うよ〜」などと口説き文句を並べて2023年の4月から正式に入社してもらい、KOMAの日々を発信する部門が新たにスタートした。 思えば幼い頃から少し変わった視点を持つ子だった。 リコが3歳の頃、お祭りでもらった金魚が死んで一緒にお墓を作ったことがある。泣き止まないリコに「どうしてそんなに泣いてるの?」と聞くと、「明日になったらこの悲しい気持ちを忘れちゃうことが悲しい」と答えた。面白い子だなあと思った。 よく笑う明るく愉快な女子へと成長していく彼女だったが、内側にはちゃんと重たく鬱々とした澱のようなものも見えた。陰と陽、騒と静、集と散など感情や思考のプラスマイナスの振り幅が大きいのだ。 こういう子は一般的な社会では生きづらさを感じることもあるのだろう。だから中学では不登校の時期もあったし、高校は退学になったりもした。 ただ俺にはそのどれもが彼女にとってのポジティブな過程に思えた。 そして、こういう子はギアが入って走り出したら、普通じゃないスピードで成長していくことを知っている。 今、走りはじめたのだ。