DIARY
チーク材
一番好きな樹種は?と聞かれればチークと答える。 油分を多く含んでいて水に強く狂いも少ない。硬度としなやかさのバランスも良く木材として優れている。 そして他の木材とは明らかに違うしっとりとした触れ心地と経年で濃く赤く艶やかに育っていくのもチークが持つ特徴だ。 木材を切ると樹種によって甘いや酸っぱいなどそれぞれ特徴的な香りが工房に漂う。 チークの香りはツンと尖ってグッと重くてフワッと柔らかい。なんとも表現しづらいが数ある樹種の中でもやはりチークの香りが一番好きだ。 そして削った際に出る粉も他の樹種とは明らかに違う。普通はサラサラだがチークはモチモチしていて握って固められるほど油分が多い。 しかし作り手にとってはこの油分が厄介で、刃物に纏わり付いてすぐに切れなくなってしまう。機械の刃も鉋などの手道具も何度も研ぎ直しながら加工を進めなければならないが、そんな苦労も消し飛んでしまうほど仕上がったチークの木肌は滑らかで心地が良い。 今となっては上物のチークは見かけることすらほとんどない。 だから何かのご縁でたまたま手に入った時は、コイツをどう活かそうかとワクワクしてしまう。 チークとはそんな材木です。 Written by Shigeki Matsuoka
チーク材
一番好きな樹種は?と聞かれればチークと答える。 油分を多く含んでいて水に強く狂いも少ない。硬度としなやかさのバランスも良く木材として優れている。 そして他の木材とは明らかに違うしっとりとした触れ心地と経年で濃く赤く艶やかに育っていくのもチークが持つ特徴だ。 木材を切ると樹種によって甘いや酸っぱいなどそれぞれ特徴的な香りが工房に漂う。 チークの香りはツンと尖ってグッと重くてフワッと柔らかい。なんとも表現しづらいが数ある樹種の中でもやはりチークの香りが一番好きだ。 そして削った際に出る粉も他の樹種とは明らかに違う。普通はサラサラだがチークはモチモチしていて握って固められるほど油分が多い。 しかし作り手にとってはこの油分が厄介で、刃物に纏わり付いてすぐに切れなくなってしまう。機械の刃も鉋などの手道具も何度も研ぎ直しながら加工を進めなければならないが、そんな苦労も消し飛んでしまうほど仕上がったチークの木肌は滑らかで心地が良い。 今となっては上物のチークは見かけることすらほとんどない。 だから何かのご縁でたまたま手に入った時は、コイツをどう活かそうかとワクワクしてしまう。 チークとはそんな材木です。 Written by Shigeki Matsuoka
20年目の今おもうこと
「KOMA20周年のイベントどうするか!?」 そう言ってきたのは創業メンバーの亀井だ。 「え?20年?もうそんな経つの?」 「20周年に対してどう考えてますか?」 そう質問してきたのは取材に来てくれた記者さんだ。 「え?20年?マジですか?」 去年の暮れからいろんな人に何度も言われて、その度に忘れているのがこの「20周年」だ。 そして先日、若いスタッフに「20周年で今思うことを文章にして」と言われたが、書いては消してを繰り返している。 何も思わないはずはないが何も思い浮かばない。すごく有意義な時間だったはずだが、すぐに忘れてしまう程度のそれでもある。 時間なんていうのは曖昧で、平等な様で全くの不公平であると理解している。 何かを積み上げられたのか、それともただ経過しただけなのか、同じ20年でもKOMAの場合はどっちだったのか。 会社を大きくしようとか売上を伸ばそうなんて計画する余裕もなく、ただ潰れないようにやってきただけな様な気もするし、気づけば20名近い優秀な仲間に恵まれてもいる。 自分にとっては大切な時間だったと感じるが、人から見れば鼻で笑うようなそれかもしれない。 やっぱり時間なんていうのはそんなものなんだろう。 何年か前にお坊さんと話す機会があって人生は魂の修行だと聞いた。 本当は成仏したいけど、修行が足りない魂は何度でも生まれ変わって修行しなければならない。だから生まれ変わるっていうのは嬉しいことではないらしい。 宗教には特別な興味はないが気持ちを楽にしてくれる面白い考え方だなあと思ったのを覚えている。 そして何となく自分勝手に人間の10年なんて魂にとっては1時間だと妄想してみる。 80年の長い人生は魂の時間からすると8時間くらいの感覚で「ダルいけど下界で8時間労働してくるわ〜」程度なのかもしれない。 そんなふうに考えると、どうせ8時間の我慢なんだから楽より苦しい方を選択してやろうなんて気にもなる。 ...
20年目の今おもうこと
「KOMA20周年のイベントどうするか!?」 そう言ってきたのは創業メンバーの亀井だ。 「え?20年?もうそんな経つの?」 「20周年に対してどう考えてますか?」 そう質問してきたのは取材に来てくれた記者さんだ。 「え?20年?マジですか?」 去年の暮れからいろんな人に何度も言われて、その度に忘れているのがこの「20周年」だ。 そして先日、若いスタッフに「20周年で今思うことを文章にして」と言われたが、書いては消してを繰り返している。 何も思わないはずはないが何も思い浮かばない。すごく有意義な時間だったはずだが、すぐに忘れてしまう程度のそれでもある。 時間なんていうのは曖昧で、平等な様で全くの不公平であると理解している。 何かを積み上げられたのか、それともただ経過しただけなのか、同じ20年でもKOMAの場合はどっちだったのか。 会社を大きくしようとか売上を伸ばそうなんて計画する余裕もなく、ただ潰れないようにやってきただけな様な気もするし、気づけば20名近い優秀な仲間に恵まれてもいる。 自分にとっては大切な時間だったと感じるが、人から見れば鼻で笑うようなそれかもしれない。 やっぱり時間なんていうのはそんなものなんだろう。 何年か前にお坊さんと話す機会があって人生は魂の修行だと聞いた。 本当は成仏したいけど、修行が足りない魂は何度でも生まれ変わって修行しなければならない。だから生まれ変わるっていうのは嬉しいことではないらしい。 宗教には特別な興味はないが気持ちを楽にしてくれる面白い考え方だなあと思ったのを覚えている。 そして何となく自分勝手に人間の10年なんて魂にとっては1時間だと妄想してみる。 80年の長い人生は魂の時間からすると8時間くらいの感覚で「ダルいけど下界で8時間労働してくるわ〜」程度なのかもしれない。 そんなふうに考えると、どうせ8時間の我慢なんだから楽より苦しい方を選択してやろうなんて気にもなる。 ...
スタート地点
高校生の頃、無気力にブラブラしている愚息を見て「出てけ」と親父は言った。 「そりゃそうだな」それに従って卒業と同時に実家を出た。 初めての一人暮らしにワクワクしたが、すぐに金が底をつき家賃を滞納し始めた。 道路工事や深夜の工場などで日雇いバイトをしていたが電気、ガス、水道と順々に使えなくなっていき、水は公園に汲みに行った。いつも腹が減っていた。 そんな俺を気にかけて、アパートの隣に住む大家さんがよくご飯をお裾分けしに部屋まで来てくれた。 その度に「もっと部屋をきれいに使え」だの「若いのに昼間からゴロゴロして」だのと説教じみた事を言ってきた。 その日は、そんな小言から免れようと適当に話をふった。 「あっそう言えば!この天井のシミってなんすかね?」 木板の天井には何かを貼って剥がしたような日焼けの跡がついていた。 「君の前の住人は美大生で、描いた作品を部屋中に貼ってたんだよ」 そう聞いた瞬間にずっと忘れていた記憶の隅っこをポツッとスポットライトが照らすような感覚を覚えた。 俺も子供の頃は絵を描くのが好きだった。いやそれどころか、よく賞をもらったり地域の美術館で展示されたりして、区から送られて来る画材で絵を描くような子供だった。 とにかく日がな一日絵や工作に夢中だったのに。いつから忘れてた? 居ても立っても居られなくなって、大家さんにお礼を言ってすぐに部屋を飛び出した。 友達が通っていると言っていた美術予備校に向かった。 ちょうど夏期講習のタイミングと重なって何だか上手い具合にワチャっと紛れ込み、対象物を囲むようにして行う15人程度のデッサンの輪の中にしれっとイーゼルとスツールを置いて、借り物の画材で授業を受けた。 水道代も払えないような人間に授業料など捻出できるはずもなかったが、次の日もその次の日も当たり前みたいな顔をして一月ほど通った。 そんな事とは露知らず、若い講師は丁寧に教えてくれて「オマエは絵心があるよ」などと褒めてくれた。...
スタート地点
高校生の頃、無気力にブラブラしている愚息を見て「出てけ」と親父は言った。 「そりゃそうだな」それに従って卒業と同時に実家を出た。 初めての一人暮らしにワクワクしたが、すぐに金が底をつき家賃を滞納し始めた。 道路工事や深夜の工場などで日雇いバイトをしていたが電気、ガス、水道と順々に使えなくなっていき、水は公園に汲みに行った。いつも腹が減っていた。 そんな俺を気にかけて、アパートの隣に住む大家さんがよくご飯をお裾分けしに部屋まで来てくれた。 その度に「もっと部屋をきれいに使え」だの「若いのに昼間からゴロゴロして」だのと説教じみた事を言ってきた。 その日は、そんな小言から免れようと適当に話をふった。 「あっそう言えば!この天井のシミってなんすかね?」 木板の天井には何かを貼って剥がしたような日焼けの跡がついていた。 「君の前の住人は美大生で、描いた作品を部屋中に貼ってたんだよ」 そう聞いた瞬間にずっと忘れていた記憶の隅っこをポツッとスポットライトが照らすような感覚を覚えた。 俺も子供の頃は絵を描くのが好きだった。いやそれどころか、よく賞をもらったり地域の美術館で展示されたりして、区から送られて来る画材で絵を描くような子供だった。 とにかく日がな一日絵や工作に夢中だったのに。いつから忘れてた? 居ても立っても居られなくなって、大家さんにお礼を言ってすぐに部屋を飛び出した。 友達が通っていると言っていた美術予備校に向かった。 ちょうど夏期講習のタイミングと重なって何だか上手い具合にワチャっと紛れ込み、対象物を囲むようにして行う15人程度のデッサンの輪の中にしれっとイーゼルとスツールを置いて、借り物の画材で授業を受けた。 水道代も払えないような人間に授業料など捻出できるはずもなかったが、次の日もその次の日も当たり前みたいな顔をして一月ほど通った。 そんな事とは露知らず、若い講師は丁寧に教えてくれて「オマエは絵心があるよ」などと褒めてくれた。...
若い衆器展
「トンカン」「ガリゴリ」夜の事務作業を終え、そろそろ帰ろうかという頃になっても階下の工房は賑やかだ。 仕事を終えた若い衆たちが椅子の座面を鉋で彫り込む練習として皿を作っているらしい。 KOMAの製品には俺の「曖昧なニュアンス」が含まれる。 例えば「プクッじゃなくてフワって感じ」とか「シュじゃなくてスゥって感じ」など何とも製品にしづらい感性みたいなものが要求される。 それを刃物で表現していくわけだから一朝一夕でどうにかなる事ではない。 木目を読みながら手の一部のように自在に鉋を操るスキルや刃を研いだり鉋を仕込む技術が必要で、それらをひたすら繰り返した先にようやく感性らしきものが身についていく。 そして、各作業にクオリティとタイムの最低ラインが設けられていて、それをクリアした者しか作業に加わることができない。だから椅子の座面の前にまずは皿を彫って練習しているというわけだ。 それでも出来の良い順にスタメンが決まるから、練習したからといって望んだポジションが与えられる保証はない。年功序列も過去の実績も関係なく、この瞬間に一番結果が出せそうな者が選抜される。 誰かが上がれば誰かが下がるという分かりやすく厳しい世界だ。 そんな一人一人を評価したいところだが、大切なのは結果のみである。 努力なんていうのは不安を軽くするために自分で勝手にすることで、特別に評価されることではない。 しかし、少し視点を変えて「その努力が具体的な形」になれば「対価」は払える。 要するに、練習しながら作品にしちゃえばそれを会社が買い取ればいい。 そして、材料も工房も自由に使えて、自分の作品をお客さんに見て触れてもらえる環境はきっとやり甲斐を感じるだろう。 そうやって始まった若衆作品という制度だが気づけば5年も続いている。 「継続は力なり」の言葉どおり一人一人の個性が表現されるようになってきた。 そして、工房だけでなくショップの若い衆だって負けていない。 「企画から展示する物まで全て若い衆だけのイベントがしたい」と言ってきた。 そしてさらに「今回のイベントへの参加条件は最低50枚の皿を作った人だけ!僕は全力で売るから本気で作れ!工房とショップで勝負しよう!」と工房の若い衆に大見得を切った。 「よっしゃ!やってやろうじゃねえか!」と当然の反応を示す負けず嫌いの面々。 そんなふうにして、若い力が一つになって生まれた作品の数々。 ...
若い衆器展
「トンカン」「ガリゴリ」夜の事務作業を終え、そろそろ帰ろうかという頃になっても階下の工房は賑やかだ。 仕事を終えた若い衆たちが椅子の座面を鉋で彫り込む練習として皿を作っているらしい。 KOMAの製品には俺の「曖昧なニュアンス」が含まれる。 例えば「プクッじゃなくてフワって感じ」とか「シュじゃなくてスゥって感じ」など何とも製品にしづらい感性みたいなものが要求される。 それを刃物で表現していくわけだから一朝一夕でどうにかなる事ではない。 木目を読みながら手の一部のように自在に鉋を操るスキルや刃を研いだり鉋を仕込む技術が必要で、それらをひたすら繰り返した先にようやく感性らしきものが身についていく。 そして、各作業にクオリティとタイムの最低ラインが設けられていて、それをクリアした者しか作業に加わることができない。だから椅子の座面の前にまずは皿を彫って練習しているというわけだ。 それでも出来の良い順にスタメンが決まるから、練習したからといって望んだポジションが与えられる保証はない。年功序列も過去の実績も関係なく、この瞬間に一番結果が出せそうな者が選抜される。 誰かが上がれば誰かが下がるという分かりやすく厳しい世界だ。 そんな一人一人を評価したいところだが、大切なのは結果のみである。 努力なんていうのは不安を軽くするために自分で勝手にすることで、特別に評価されることではない。 しかし、少し視点を変えて「その努力が具体的な形」になれば「対価」は払える。 要するに、練習しながら作品にしちゃえばそれを会社が買い取ればいい。 そして、材料も工房も自由に使えて、自分の作品をお客さんに見て触れてもらえる環境はきっとやり甲斐を感じるだろう。 そうやって始まった若衆作品という制度だが気づけば5年も続いている。 「継続は力なり」の言葉どおり一人一人の個性が表現されるようになってきた。 そして、工房だけでなくショップの若い衆だって負けていない。 「企画から展示する物まで全て若い衆だけのイベントがしたい」と言ってきた。 そしてさらに「今回のイベントへの参加条件は最低50枚の皿を作った人だけ!僕は全力で売るから本気で作れ!工房とショップで勝負しよう!」と工房の若い衆に大見得を切った。 「よっしゃ!やってやろうじゃねえか!」と当然の反応を示す負けず嫌いの面々。 そんなふうにして、若い力が一つになって生まれた作品の数々。 ...
馬鹿げた一言
本当にありがたいことに凄く沢山の受賞をいただいている。 今のところ日本が13個で海外が10個の合計23個。 きっかけは「どうせなら世界のテッペン目指そう」というなんとも馬鹿げた俺の一言だ。 別に事業拡大とか売上がどうとかではなくて、言葉にするのは難しいが何というか夢とかロマンとか、まぁそんな類いのものだと思う。 そんな戯言に妻が率いるショップチームが立ち上がってくれた。 そこでまず手始めに世界中の賞を獲りまくる事にした。 今までは作品作りも手続きも全て自分1人だったのが、今はショップチームが英訳や事務手続き関連などなど面倒な裏方の全てを行ってくれるから俺は作品を作るだけに専念できる。 そういったチームプレーの結果、海外の賞はたった一年半で10個になった。 そんな役割分担のおかげもあって、俺はショップで接客することはおろか、メールも電話もSNSの投稿などなどの外部とのやりとりを一切やらない。 その分、番頭役として表に立つ妻たちショップチームは、呑気に工房にこもっている俺には感じることのない苦労や苦悩、悔しい思いをする事が少なからずあるようで、まだまだ歴史という説得力を持てない新参者のKOMAが今できることは、実績と評価を積み上げていくことだと結論づけたのだろう。 そんな実直な妻の思惑と馬鹿げた俺の一言がタイミング良く合致して動き出した感じだ。 悔しかったり、悲しかったり、腹が立ったり、そんな時ほど口には出さず、黙ってすべき事をして結果を出す。 かっこいい男はこうあるべきだと妻に教えてもらった今日この頃。 Written by Shigeki Matsuoka
馬鹿げた一言
本当にありがたいことに凄く沢山の受賞をいただいている。 今のところ日本が13個で海外が10個の合計23個。 きっかけは「どうせなら世界のテッペン目指そう」というなんとも馬鹿げた俺の一言だ。 別に事業拡大とか売上がどうとかではなくて、言葉にするのは難しいが何というか夢とかロマンとか、まぁそんな類いのものだと思う。 そんな戯言に妻が率いるショップチームが立ち上がってくれた。 そこでまず手始めに世界中の賞を獲りまくる事にした。 今までは作品作りも手続きも全て自分1人だったのが、今はショップチームが英訳や事務手続き関連などなど面倒な裏方の全てを行ってくれるから俺は作品を作るだけに専念できる。 そういったチームプレーの結果、海外の賞はたった一年半で10個になった。 そんな役割分担のおかげもあって、俺はショップで接客することはおろか、メールも電話もSNSの投稿などなどの外部とのやりとりを一切やらない。 その分、番頭役として表に立つ妻たちショップチームは、呑気に工房にこもっている俺には感じることのない苦労や苦悩、悔しい思いをする事が少なからずあるようで、まだまだ歴史という説得力を持てない新参者のKOMAが今できることは、実績と評価を積み上げていくことだと結論づけたのだろう。 そんな実直な妻の思惑と馬鹿げた俺の一言がタイミング良く合致して動き出した感じだ。 悔しかったり、悲しかったり、腹が立ったり、そんな時ほど口には出さず、黙ってすべき事をして結果を出す。 かっこいい男はこうあるべきだと妻に教えてもらった今日この頃。 Written by Shigeki Matsuoka
解決策
数年に一度、デザインや設計のアイデアが何も思い浮かばないことがあって、その度にこのまま尽きてしまうのかと内心ビクビクしている。 この2ヶ月はそんなトンネルの中を舌打ちしながらフラフラしている感じだ。 作り手としてまだまだ50点にも満たないと自覚しているが、何だかいろいろ賞なんかをいただいてどこかホッとしている。 それが野心を忘れさせているのだろうか。 毎日が崖っぷちのサバイバルだった以前と比べればKOMAも安定してきた。 工房も店もスタッフはみんな優秀で明るい未来が見える発展途上はこの上なく楽しい。 そんな状況がハングリーさを失わせているのだろうか。 一応こんなふうに色々考えてみるが果してそれが直接の原因なのか分からず、こんがらがってイライラするばかりだ。 今までの経験上、不安や不満は口にせずただ黙って物づくりに必要な基礎の練習をするという最も地味なことが1番の解決策であるということは学習している。 だからまず刃物を研ぐ。今まで味わったことのない新しい感覚が得られるまでひたすら研ぎ続ける。 次は過去に描いた図面をもう一度描き直す。もう一つ上の領域に定着できるまで何枚も描き続ける。 そしてヘトヘトになるまでサーフィンをして、飽きるまでバイクに乗って、沢山メシを食って、浴びるほど酒を飲んで、寝たいだけ寝る。 そうこうしていると新しいアイデアがムクムクと起き上がってきて、早く物作りがしたくて仕方ないという状態になることが多い。 練習して上手くなるとそれを試してみたくなるし、遊びまくるとイイ加減もうそろそろ仕事がしたくなる。 よく分からないけど多分そういう単純なことなんだと思う。 そんな大義名分を勝手に掲げて、湘南から四国は四万十まで太平洋沿いをトコトコのんびりサーフィンの旅に出ようと決めた今日この頃。松岡 Every few years, I...
解決策
数年に一度、デザインや設計のアイデアが何も思い浮かばないことがあって、その度にこのまま尽きてしまうのかと内心ビクビクしている。 この2ヶ月はそんなトンネルの中を舌打ちしながらフラフラしている感じだ。 作り手としてまだまだ50点にも満たないと自覚しているが、何だかいろいろ賞なんかをいただいてどこかホッとしている。 それが野心を忘れさせているのだろうか。 毎日が崖っぷちのサバイバルだった以前と比べればKOMAも安定してきた。 工房も店もスタッフはみんな優秀で明るい未来が見える発展途上はこの上なく楽しい。 そんな状況がハングリーさを失わせているのだろうか。 一応こんなふうに色々考えてみるが果してそれが直接の原因なのか分からず、こんがらがってイライラするばかりだ。 今までの経験上、不安や不満は口にせずただ黙って物づくりに必要な基礎の練習をするという最も地味なことが1番の解決策であるということは学習している。 だからまず刃物を研ぐ。今まで味わったことのない新しい感覚が得られるまでひたすら研ぎ続ける。 次は過去に描いた図面をもう一度描き直す。もう一つ上の領域に定着できるまで何枚も描き続ける。 そしてヘトヘトになるまでサーフィンをして、飽きるまでバイクに乗って、沢山メシを食って、浴びるほど酒を飲んで、寝たいだけ寝る。 そうこうしていると新しいアイデアがムクムクと起き上がってきて、早く物作りがしたくて仕方ないという状態になることが多い。 練習して上手くなるとそれを試してみたくなるし、遊びまくるとイイ加減もうそろそろ仕事がしたくなる。 よく分からないけど多分そういう単純なことなんだと思う。 そんな大義名分を勝手に掲げて、湘南から四国は四万十まで太平洋沿いをトコトコのんびりサーフィンの旅に出ようと決めた今日この頃。松岡 Every few years, I...