昨年の春に残業をゼロにしてから一年間継続できて素直に嬉しい。 全力で集中できるのはせいぜい1日8時間が限界だと思うし、同じ成果ならなるべく短い時間で終わった方が良いに決まっている。 だから効果的に残業を無くすことで仕事の効率も上りスキルアップやチャレンジに時間を使えて、売上や利益率も伸びるだろうとずっと思ってはいたが、何事も口で言うのは簡単で実行するのは難しい。 KOMAを立ち上げた20年前は徹夜なんて当たり前だったし、つい10年前も休みなく深夜まで働いていた。 それから数年をかけて残業時間を2時間、1時間、30分と少しづつ短くしてようやくゼロにできた。 「経営者として従業員の仕事環境を整えたい」なんていうのは建前で、根性も能力も無いくせに辞める時に会社のせいにされるのがムカつくっていうのが本音だ。 だからグウの音も出ない会社にしたいと思っている。 あれから1年みんなで協力しあって一度も残業をしていない。 その結果、売上は前期と比べて30%伸びた。 そして今では年間110日から最大130日の休みがあって、社会保険はもちろん長期休業保証も育児休暇も退職金制度、扶養手当などなど多くの手当や保証もある。 若い衆が作った作品を買い取る制度や会社運営に参加し意見できる機会など、いつでもチャンスがある環境に加え、個人のスキルや貢献度、業務内容などを細かく見えるようにした評価制度もあって、実力と結果によるが給料も良い。 こうして聞くと良い事ばかりなように感じるが誰にとっても良いわけではない。 やりがいと結果を得て成長を実感し楽しめるのは、自分の現状を理解し役割を見つけられる者に限定されるからだ。 そうでない者にとってこの環境は、素晴らしい作品を次々に生み出す者や会社の運営に能動的に関わる者と比較され能力や結果が丸裸になり、ごまかしも効かず逃げ出したくなるだろう。 優秀な者ほど多くの選択肢の中から自分で的を絞って黙々と真っ直ぐに進むことができるが、無能な者はありもしない選択肢を見て理想を口にするばかりで行動ができないから成長もしない。 クリーンで良い仕事環境になればなるほど結果的にフルイの網目は大きくなり、そのフィールドに残れる者が限定される形となった。 ここ数年は多くの就職希望の履歴書が届くが、採用人数も少ないから倍率は20〜30倍になることもある。 採用する際の基準は、今のKOMAに新鮮な風を吹かせて新しい原動力になってくれる人材か否かだ。 だからKOMAには多種多様な才能が集まり、家具のデザインや製作、販売、企画はもちろん、カタログやホームページの構成デザイン、宣伝広告、海外とのやり取りなどなど全てのことを社内で行なっている。 そう聞くと敷居が高く感じるかもしれないが 「誰にも負けないくらいの元気で今よりもっとKOMAを明るくできます!」 なんていうシンプルなものでも本当にできるなら大歓迎だ。 会社は一人一人の仲間たちで出来ている。 デキるヤツらが自分たちのためにさらに良い環境を創るという好循環ができて、会社の成長は加速していいる。 日々進化が実感できるKOMAという会社がすごく楽しい今日この頃。 Written by Shigeki Matsuoka